[ ベイタウンの知られざる自然 ]                          ベイタウンもめっきり空き地が少なくなってきた。             いや、つい1年前まではあちこち空き地だらけだったのに、ここに来て急に建設ラッシュになったのだ。             一見大きな空き地でほったらかしになっているような所でも、ある程度のインタバルで大きな機械で一斉に草刈りを施されるので、雑草すら滅多にお目に掛かれない。                          ところが、打瀬中学校の海寄りの広大な空き地は少なくとも10年は何も変わっていない。かつては、マリンフォートのあたりまで一面の葦の原で、自然に溜った水が、まるで沼のようになっていた。             そこに、かるがもが生息しているという。             蛙や蛇もいたという。             その場所は立ち入り禁止で、工事関係者から聞いた話だが、埋立地とは思えないくらいワイルドな場所になっていたらしい。                          しかし、その辺りも一斉にブルドーザーによって整地され、花見川沿いのわずかな土地だけが、ベイタウンが誕生する前からの自然を保っているのだ。             どういうわけか、そういった湿地帯には小さな魚もいる場合がある。             植物や、簡単に飛んで来られる昆虫や鳥ならいざしも、魚はまさか飛べはしない。             誰かが放したのだろうか。             それとも鳥が運んできたのだろうか。                          ところで、メッセ大通り沿いにも僅かに葦の原がある。             ちょっと雨が降ると、水たまりはたちまち大きな池に変わる。             ここは通り沿いだから簡単に観察することが出来る。             私はここをベイタウン大池と名付けた。             何度か野鳥が水を飲んでいる光景も目撃した。             この辺りを営巣地にしているコアジサシもその中のひとつ。                          ただ、もうその辺も間もなく整地されてしまい、ベイタウンにはコアジサシの住むところが無くなってしまうのも時間の問題。             5年前くらいはベイタウンの上空には雲雀が盛んに鳴き、そして夜は打瀬中学校のほうで蛙の声も聞こえていたが、もう、それは昔話になってしまうのだ。             だんだん賑やかになってくるベイタウンの街並みに、ひっそりとしてしまった世界があることを少しだけでも認識してほしい。 |