7月の終わりごろ。やっと仕事が一段落した。甲斐性無しなので、せっかく息子が夏休みになったというのに、どこにも連れていってない。それを見かねてか、義父母(息子の祖父母)が妻子を旅行に連れていってくれた。2泊して戻ってきた息子に、海でも連れていってやるか、と話したが、父親のはっきりしないスケジュールなどアテにしていない妻子は、別個の予定を立てていて結構忙しいようだ。だいたい土日は全部少年野球のために潰れている。そのほかにもプールだピアノだと毎日何かしら用事がある。 おやじの威厳が無くなったと昨今色々な場所で言われるようになった原因のひとつには、世の中のおやじが忙しすぎて、旅行にも連れてゆかなくなったということもあるのではないか。今や「よし明日は休日なので、どこかに連れていってやろう。」とかもったいぶって言うお父さんもいないだろうし、「わーい!」と素直に喜ぶ子どももいなくなってきているのではないか。それは我が家だけなのか。 世間はどうであれ、なんとかおやじの威厳を取り戻さなくては、と思っていたある日の午後、息子のスケジュールが珍しく開いていたので、仕事を早めにやめて、どこかに行こうと決意した。しかし、いざ行こうと思っても、さて、どこに行こうかと悩んでしまう。それに加えて、外は灼熱の太陽が容赦なく照りつけている。近所に出かけるのにもためらってしまう。 息子は漫画を読み始めた。しかも熱中している。私も適当に見ているテレビにいつしかのめりこむ。時間はどんどん過ぎてゆく。気がつくと午後3時をまわっていた。そして、急に何かのきっかけで、花見川サイクリングロードを思い出し、花島公園までサイクリングに行くことにした。午後3時といっても外はまだかんかん照り。嫌がる息子のケツを叩きながら、簡単に身支度して、いざ出発。 左: | おなじみのサイクリングロード。この季節はカンナが咲いている。赤いシャツが私の息子。 | 右: | ヒマワリも咲いている。ピンボケ写真になってしまったが・・・。 | 暑い中、何でサイクリングしなきゃならないだ、というような悲壮感を漂わせていた息子であったが、それでも走り出してみると、まんざらではなさそうだった。それに、さすがに夕方なので、走っているぶんにはやや涼しいのである。 途中、休憩を兼ねて、水分補給のためにさつきが丘に立ち寄る。それから一気に花島公園まで行く。花島公園を目的地にした理由は、あまり大変ではない距離だということと、地図で見る限り、広々としていて、のんびり出来るのではないかと考えたからである。 花島公園は起伏に富んでいる。一番高い場所と、花見川に面した一番低い場所の標高差はかなりある(といっても10mくらい?)だろう。また、大雑把に分けて4つの部分から成る。まず、一番下の花見川に面したところ。そこはサイクリングに来たときに何度か立ち寄っているが、芝生の公園。それほど広くはないがのんびりくつろげる。次にやや急な坂道を登ってゆくと、水生植物があり、木道のある池に出る。それが上の写真の左。奥に小さく見えているのが木道である。そのちょっと手前で野生の黒豹に出会う(写真右)。単なる猫じゃないか、という説もある。 おっと、話が逸れた。4つの部分。1つめは、花見川に面した芝生。2つ目がその池。3つ目は渓谷だ。一番上の写真。最後の4つ目が大きい広場。周囲には野球場、立派な体育館もある。 蓮の花が咲くその池では、鴨がのんびり浮かんでいる。時々、亀が泳いできて、ぶつかりそうになると、嘴で突付き追い払っていた。息子は亀がたくさんいることを喜んでいた。そういえば、花見川の花島橋辺りにも亀がいたことを思い出した。その池の亀とは親戚かもしれない。 鴨に突付かれて、仕方なく移動する亀。 亀は何の苦労もしていないように見えるけど、亀であること自体が大変なのだ。 池を過ぎて、小さい路地を渡ると、雰囲気が一転する。この辺りは渓谷になっている。 水のあるところ子ども達あり。というくらい、子どもは水遊びが大好きである。 渓谷に沿って、緩やかな坂を登りつめると、大きな芝生の広場に出る。もう夕刻の5時をまわったのに、日向は暑い。木陰でたくさんのお年寄り達が涼を求めて集まり談笑していた。私もいずれこういう仲間になるのだろう。 体育館はかなり大きく、しかも立派である。どうやらプールも建物の中にあるようだ。 私と息子は夕刻6時くらいまで公園にいた。何をしていたかといえば、単に公園を散策していただけなのだ。しかし、小学生の息子は散策というだけでは飽きてしまう。幸いなことに体育館の近くにコンビニがあったので、そこで飲み物とスナックを買い与えて、誤魔化した。そういうときだけは目を輝かせる息子。自分もそうだったから仕方ない。 帰路は一時間以上かけてのんびりと走った。この季節は7時近くなってもまだまだ明るい。夕刻のサイクリングもまたいいもんだ。花島公園も想像以上に良かったので、また訪れてみたい。次は紅葉の季節なんてどうだろう。また息子は付き合ってくれるかな。今回のサイクリングはあんまり好評じゃなさそうだけど。(苦笑) 初版:2006/8/3 改訂:2006/9/14 Zaki |